2010年10月26日

プライド。

だいぶ前に、そんなタイトルのドラマがあったっけな

さて、キミはどんなプライドを持っているか
ワタクシは、つまらないプライドを捨て去れるというプライドを持っている

そんなことで、一路夜の高野山へ
走り慣れたはずの高野街道も、心なしかこの日はもの悲しく映る
どうにも走り難い
後ろからぐんぐん追い上げてくる車があった
ちょっと膨らんだ場所で横へ寄せて後ろからの車を先に往かせる
軽トラックであった
イワディアン・亜久里と呼ばれたワタクシであるが、この日はどうにもドライヴィングに気が入らない

そうこうしているうちに、尿意を催してきた
一層注意が乱れる
とは言え、神聖なる地へ向かう途上で、放尿と云う訳にはいかない
大人としてのプライドもある

そんな満身創痍のワタクシに、更なる刺客が畳み掛けてくる
ランドクルーザー風の車である
ハイビームよろしく高野街道を後ろから煽り立ててくる
感情的には先に往かせたくない
しかし、膀胱は破裂しそうでハンドリングに集中できない

なかなか厳しいレースを余儀なくされていたが、ようやく大門が見えた
恐らくは綺麗にライトアップされていたことであろうが、楽しむ余裕もない
メインストリートを駆ける
弾けそうなバブルを下腹部に抱え、必至のパッチでアクセルを踏む
一人の大人として穏やかに明日を迎えられるかどうかギリギリの闘いである

そして、ワタクシは知っている
そう、あと数百メートルで公衆トイレがある
この闘いはワタクシの勝利であるか

そう気持ちが緩み掛けた刹那、何と何と、な、な、何と、信号が赤に変わった
息を止め、鼓動を弱め、極限まで生命活動を抑える
じっと耐えるのみである

信号が青に変わった
勢い良くアクセルを踏み込む
公衆トイレが見えてきた
車を停め、ベン・ジョンソン並みのロケット・ダッシュで男子トイレへ向かう
この公衆トイレはセンサーでどんどん明りが点いていく
ハイテクである
ドアを開け、廊下を走り、便器前へ走り込んだ


そして


ワタクシは闘いに勝利した



帰りに見た大門はいつにも増して大きく、どこかもの淋しく、儚く
しかし、凛としていた
この大門をくぐって、たくさんのお世話をいただき、教えをいただき、そしてまた大門をくぐって帰路に就いた思い出が走馬灯のように巡る


  


Posted by 川畑哲哉 Kawabata Tetsuya at 23:05Comments(2)雑記