2010年02月19日

『金は天下の回り物-エジプト旅行記より-』

エジプトはルクソール神殿を訪れた時のこと
『金は天下の回り物-エジプト旅行記より-』

ふらふら~っと神殿を抜け、裏庭を散歩していると、2人組のツーリストポリスが話し掛けてきた
エジプトでは、ルクソール事件以来、このような拳銃はもちろん自動小銃を携帯したツーリストポリスが、観光地の角々に立っている
観光産業が主要な外貨獲得術であり、治安への不安から観光客が激減することは、直ちにエジプトの国内経済を揺るがす事態となるので、ワタクシが旅行した2003年当時は、日本における自動販売機の設置密度など比べようもないくらいの密度でツーリストポリスが街中で見られた

さて
そのツーリストポリスの一人が言うには、ここから先は一人では危ないから俺が案内してやろう、とのことである
これは、体良くガイドを申し出るチップ目当てのバイトであって、エジプトの観光地各所で同様のことがあった
ワタクシは、相手にもせずただ自分の行きたい方向へ歩いて行くが、ツーリストポリスは話し掛けながら付いてくる
「日本からか??」「学生か??」「そのジャケットかっちょ良いな~」云々

まったく意に介さなかったワタクシであるが、「俺しか知らない写真スポットを教えてやるよ」には反応した
「絶対誰にも言うなよ~」とすぼめた口に人差し指を当てて内緒ポーズを取るえせガイド
この時点で、駆け引き開始となったわけである

その写真スポットは確かに素晴らしかった
奇妙なあぜ道を通って小高い丘に登って振り返ると、あの巨大なルクソール神殿が一望できた
『金は天下の回り物-エジプト旅行記より-』

丘を下りてきて、ここから交渉である
えせガイドは当然チップをよこせ、と云う
ワタクシは小銭を持っていない、と云う
そんなことないだろう、ちょっとくらいおくれよ、とえせガイド
幾度かのせめぎ合い後、ポケットからボールペンを出すワタクシ
CROSS社のボールペンに似た旅行前に100均でチップ代わり用にと購入しておいた旅行中に使い込んだボールペンである
エジプト人が日本製のものなら何でも欲しがるのは旅行中に学んだ
大喜びして『日本製か??』と聞くえせガイド
「日本で買ったものだ」と応えるワタクシ
『もう一本おくれ』とペアのツーリストガイド分を求めるえせガイド
「もうないからアイツには黙っていなさい」と応えるワタクシ
満足そうな笑みを浮かべるえせガイド
かくして交渉は成功裏に終了した


そしてエジプト出国時
出国審査官を前にして慄いた

何と何と、な、な、何と

審査官が持っていたペンは、まさしくワタクシがルクソール神殿でしばしのせめぎ合いの後にえせガイドにあげた日本の100均で購入した恐らく中国製であろうCROSS社の物に似たヴィジュアルのあのボールペンではないか

あのえせガイドが、自分の出世の一助にと、上納したのか
はたまた、そのペンを見付けた審査官がカツアゲしたのか

兎も角、空恐ろしい心持ちで出国ゲートをくぐり、帰国の途に就いた
ちょうど、アメリカがイラクを空爆して1週間のことであった


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Posted by 川畑哲哉 Kawabata Tetsuya at 11:12│Comments(0)雑記
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